2016年10月12日

「生まれてきてよかったと思える社会を」聴講。

10日体育の日、特定非営利活動法人子ども・若者サポート はみんぐ設立記念、湯浅誠さん講演会「生まれてきてよかったと思える社会を」を聴講してきました。

 日本の閉塞感を現すような演題でしたが、湯浅さんは仕事作りや居場所作り、若者と関わり方について、明るく飄々とお話をされました。最前列では、中学生の男の子がお母さんと一緒に話を聞いてましたが、会場内で一番若く少数派の男の子にも分かりやすくジョークを交えて話す湯浅さんの姿に「少数派や立場の弱い人を基準にセイフティネットを考える」という、貧困対策の理念にも通じるスタンスを感じ取りました。

 地域おこしの参考例としてあげられたのは、島根県海士町(あまちょう)と秋田県藤里町。隠岐諸島の中にある海士町(中ノ島)のキャチコピーは「ないものはない」。地元伊那市のキャッチコピーを忘れている私でも、すぐに覚えられました(笑)。
 
面積33.46k㎡、周囲89.1㎞の小さな島ですが、トヨタやリクルートを退職して移住する若者が増えている。「いものはない」というキャッチコピーには「ないものなどない」という意味もあり「ひとが暮らす為に必要なものはすべて揃っている」という意味もあるそう。大企業を誘致するような島おこしはしていない。島民同士で得意なことを教え合う場や、村内を巡るスタディーツアーなども開催していて、とにかく島の大人が自信をもって楽しく生活している。それが大企業での仕事を捨ててまで、島で暮らす若者を増やしているそうです。

 一方で秋田県藤里町は、人口3,800人。社協職員が人口減少対策として実施したのは「ひきこもり実態調査」。18歳~48歳までの「家にこもりきりではない、広い意味でのひきこもり」の人数を調査し、該当者を集めて白神マイタケを使用したキッシュを生産。地元の高齢者を主な顧客に売上げを伸ばしたそうです。

 私たちは効率よく精度の高い仕事ができる人間が、この社会で価値のある人間だと教えられてきました。だから障害者やひきこもりなどハンデを抱えた人は、非効率的で無駄な存在として切り捨てられ、過労死や自殺も増えました。近年は、将棋で人間に勝利するほどAI(人工知能)の発達も目覚ましいです。機械や化学、人工知能と比べたら人間なんて皆、非効率的で無駄な仕事しかできないでしょう。効率よく精度の高い仕事ができることだけに価値を置くことが、私たちの生きづらさや閉塞感を増す原因になっているのかもしれません。

 都会と田舎を、自分を他人と比較して優劣をつけなくても、自分がただそこに生きているだけで価値があるという生き方を目指すことが、日本の閉塞感や生きづらさの解消に繋がると思いました。
 (湯浅さんも含め、そんな生き方を目指す大人が日本に増えたら、自分より若い人もいじめや暴力に走ることなく楽しく生きれるのかもしれない)と思いました。

 

Posted by rejse at 14:24 | イベントレポート